蕎亭大黒屋 (東京都台東区) 友蕎子直伝の10割そばを打つ職人芸の味


浅草・吉原に近い小路に、大黒屋は静かな佇まいで店を開いていた。
品書は扇子の表裏に墨で書いてある。新潟の銘酒八海山と焼きみそを注文。富士山の世界遺産登録を記念して焼いたという有田焼のお猪口と、南部鉄瓶に入った八海山の冷酒が江戸情緒の雰囲気を高める。
「食はすべてのものをあきらかにし調理をあやまたず ~ 友蕎子」の額を見ながら、ひとり日本酒の香に酔いしれる。
木のしゃもじに盛られた焼きみその味わいは、猪口を傾ける回数が増える。

せいろうそば。丁寧に時間をかけて挽かれ、渾身の技術を込めて打たれたそばの香りと甘み。そばを味わうというより愉しむと言った方が適切かもしれない。
つゆはキリッとした濃い口で細切りのそばに良くからむ。このつゆであればこそ、そばとつゆが混然一体となって食の極致へと導いてくれる。

ダッタンそばのそばがきを頼む。未だ収穫していないと言うので、粗挽きのそばがきにする。陶製の分厚い鍋で練って形よく整えられた、そばがきから立ち上って来る香りを、きな粉と醤油で交互に味わう。
量としては充分あるのに、満
腹感を感じないほど出来栄えに驚くばかり。蕎麦の産地は茨城産と長野産を主体。いずれは会津の在来種を使う予定だという。

右側が小上がり。堀炬燵風で足を落とせるため、長時間座ってもあまり疲れない。
写真のフィンランド女性が抹茶を挽いている側が客席となっている。

決して大きな間口とはいえないが、入口には幾つかの植栽物が植えられ、一見しておそば屋さんとわかる小粋な造り
蕎亭・大黒屋では、下町情緒と蕎麦とを時間を気にせず味わいたい。開店の12時頃に入って、出て来たのが2時半。
食事が終わってから、店主がアルバムを持って来て、宮家との付き合いを説明してくれたり、二人の女性と筆者のために、店主自ら石臼で煎茶を挽いて抹茶作りを教えてくれた。サービス精神旺盛な夫婦のおそば屋さんであった。
尚、大黒屋では冷たいおそばのみ取り扱い。
【 店 名 】 蕎亭 大黒屋
【 読 み 】 きょうてい だいこくや
【 電話番号 】 03-3874-2986
【 住 所 】 東京都台東区浅草4-39-2
【 アクセス 】 地下鉄銀座線・浅草駅より徒歩12分
【 営業時間 】 昼 12:00~14:00 夜 18:00~22:00
昼夜ともに蕎麦が売れ切り次第終了
【 定 休 日 】毎週日曜日、月曜日
【平均的な予算/人】 1.250円 ~ 3,000円
【 予 約 】 平日は昼も夜も可 土曜日の昼は不可、夜は可
【クレジットカード】 不可
【 個 室 】 無し
【 席 数 】 小上がり20~25席 (掘りこたつになっている)
【 駐 車 場 】 無し
【 煙 草 】 禁煙、戸口付近では吸える(玄関の外はダメ)
【アルコール】 有
【店のホームページ】 有
【地図】https://goo.gl/maps/CoiHDaEh3RT2
(レポート提出/ヒラッキー)